サーカス

サーカス

僕が小学校の頃、浜松に木下サーカスがやってきた.サーカスの宣伝は連日行われて、空中ブランコや動物ショーが僕たち子供の心を引きつけたのだ.誕生日が同じ日でなにかと仲の良かった友人マチャと僕は、どこからかサーカスの割引券を手に入れてサーカスを見に行こうという話になった.親からバスとサーカスの代金をしぶしぶもらった二人は木下サーカスに向った.バスは会場まで乗り換える必要もあり、ちょっと心配だったが思ったよりも早く会場についた.僕らは開始までの時間、サーカス会場のまわりをさまよった.そこにあった、大きな人形風船みたいなのに入って跳ねて遊ぶ遊具が気になってしまった.普段は大人ぶっていた僕だったが、サーカスという事に浮かれていたんだろう.帰りのバス代から数百円を使って僕は遊んでしまった.中には僕よりも小さな子供たちがいて、楽しそうに跳ねていた.やっぱり子供が遊ぶ物なんだなって思った矢先、その子のかかとが僕の顔面を直撃した.目から火花が出るとはこの事なのかと思った.鼻血と涙も止まらないし、サーカスのことなんてどうでも良くなってしまった.その後、サーカスを見たり、歩いて家まで帰ったと思うのだが、サーカスと言えばこの痛い思い出しか無い.