電話

電話

携帯が一般的ではなかった十数年前.週末になると好きだった女の子に遠距離電話した.その頃彼女は寮に入っていたので、電話は寮母さんからの引継ぎだった.緊張しながら引き継いでもらい、他愛もない話をした.その頃一人暮らしの自分の部屋には電話はなく、僕は緑の電話から電話していた.一枚500円のテレホンカードの度数が0になるまで6分ぐらいだった.親の仕送りで生活していた僕はそれ以上彼女と話すことはできなかった.受話器を下ろして暗い部屋に帰るのは少し寂しかった.